半側空間無視 ⑤個人的には
ここでは個人的に意識していることを書いていきます。
中堅層の考えであり、エビデンスがあるものではないので参考程度にみてください。
全員に実施するわけではありませんが、頻度的に多いのは...
①眼球運動の促通
②補足課題
③視覚走査課題
④Limbs Acitivation
になります。
【眼球運動の促通】
先日大きく2つに分かれるといいましたが、分かりやすくいうと
①サッケード・・・点から点へなど、素早い運動
②追従運動 ・・・動いているものをゆっくり追っていく運動
例:右から左へ走っていく車を目で追っていく
眼球運動は6つの筋で動かされ、筋は奥の方で総腱輪というもので1つになります。
四肢・体幹の筋は運動機会の減少とともに短縮や硬直などを起こしますが、眼球運動
においてもスムーズな動きが阻害されることは同様です。USNの場合、重症度にもより
ますが、USN側への眼球運動は多少なりとも阻害されます。
USN患者にサッケードや追従運動を求めると、USN側に行くにつれて頸部も一緒につ
いてくることが多いかなと感じています。つまり、この頭蓋骨(頸部)と眼球運動は分
離して動けるようにしないといけないと考えています。
【やり方】
①サッケード(頸部固定)
まずサッケードはこんなイメージでやっています。最初は2点間を縮めてやります
が、徐々に拡大していきます。左USNの場合、青に向かうときに時間がかかったり、
途中で引っかかることが多いです。そのあと、「斜め」や「上下」に設置して行った
りもします。重要なのは「頸部を動かさないこと」です。
②(名前がありません) 眼球固定
1つのターゲット(マグネットなどで可)を患者の眼前にセットします。
今度はターゲットをずっと見てもらい、頸部を動かします。
①回旋 ②側屈 ③ぐるぐる回す動作
この2つで眼球と頸部の動きを分離していくイメージです。
また、眼球運動は頸部(後頭下三筋)で支えられており、その賦活でもあります。
よくPCやスマホをずっと見ていると、頭蓋骨のすぐ下あたりが凝りますよね。つま
り、視線固定するとここの筋肉は硬直します。そうした後に人ごみに行くとクラっと
したりしませんか?健常人でさえ影響があるのに、患者さんはなおさらです。
能動性を高めたくない場合は、「寝返り動作」をよく使います。
基本動作の第一歩であり、麻痺があるとパターンが崩れやすいところでもあります。
パターンが崩れるとは言いましたが、寝返りはもともとパターンがかなり多いです。
有名なものでは「屈曲・回旋パターン」があります。
これは、「頸部回旋」→「体幹」→「骨盤・下肢」の立ち直りの順のもので、起居に
移行する上でも推奨されています。つまり、寝返りにおいても眼球運動が果たす役割
は大きく、これをUSNのリハに応用することは可能です。
後輩によく聞くことで、左USNの人に「左みてくださーい」というのは簡単ですが、
「セラピストの左側」と「患者にとっての左側」は一緒ですか?USNのリハに限ら
ず、こういうところの認識を共有することは重要であると思います。
ただ、寝返りにおける「右」「左」は比較的明確です。重症である場合は、寝返りか
ら入るのも良いのではないでしょうか?頸部からの誘導が難しいのであれば、「伸
展・回旋パターン」から誘導してもいいと思います。「下肢・骨盤」→「体幹」
→「頸部」といった流れを徒手的に誘導してみてください。
※わかりにくい場合はPTOTに聞いてみてください。