半側空間無視 ④リハビリ
USNへのリハビリは多数ありますが、全般性の注意障害に対するアプローチをベースに
した課題が多い印象があります。
注意障害へのアプローチとしては、Attention Process Training(APT)が有名です。
この中にあるキャンセレーションがよく用いられているのではないでしょうか?
ここで報告されているUSNのリハビリ方法を列挙します。
まず意識的に行う「トップダウンアプローチ」と、無意識下に行う「ボトムアップアプ
ローチというものに分けたものがあります。
①トップダウン⇒能動的注意
②ボトムアップ⇒受動的注意 という感じになります。
具体的な内容としては
【トップダウン】
・視覚走査課題(キャンセレーション、アクティビティ、SDMTとか)
・左側への手がかり(車椅子のUSN側ブレーキにシールを張るとか)
・眼球運動
【ボトムアップ】
・カロリック刺激
・視運動性刺激
・頸部への振動刺激
・プリズム順応
・アイパッチ
・体幹回旋
【中間】
・Limbs Acitivation(四肢の活性化)
近年の研究では、能動的注意を高めすぎる弊害を報告したものが増えており、
受動的注意へのアプローチの必要性が訴えられています。
上記に挙げたボトムアップアプローチは「USN 〇〇〇」といれれば方法・理論など
が出てくるかと思われますが、単体使用時の効果やエビデンスはまだまだ低いものが
多いです。当たり前のことですが、アウトカムは生活場面に求めるものと考えており
ますので、BIT<CBSが私の優先順位です。
例えば体幹回旋やアイパッチは、視覚走査課題と併用したほうが効果的といわれてお
り、実際の臨床では組み合わせて使用することが多いようです。
次に「心理空間」によって分けたものです。
・身体空間 →身体機能への直接介入
(麻痺側管理の不十分さ、更衣のときの袖通し時のUSNなど)
・身体内空間 →机上課題やリーチ課題
・身体外空間 →環境設定
最後に「サブタイプ」によって分けたものです。
・知覚性→感覚刺激
・表象性→メンタルアプローチ、イメージトレーニング
有名なのでは「ミラノ大聖堂放火」でしょうか?または文字の欠損など
また、自分の家の間取りや「玄関入って左に何ある?」とか聞いてみると
部屋を脳に表象しながら答えることになるので、わりとここは評価します。
・注意性→覚醒向上、注意課題
覚醒わるいとUSN強まりますよね。また、注意の容量低い時とか
・走査性→無視空間への探索課題
このようにUSNにアプローチするにあたって、
①能動的と受動的のどこがダメなのか?
②どこの空間で起こってるのか?
③特性はどうなのか?
をしっかり評価することは重要ということになります。
臨床で行われているリハビリがどこにアプローチしているものなのか、というのはこまめに振り返るようにしております。