半側空間無視 ③評価
USNの検査バッテリーとして、第一にあがるのは「BIT」でしょう。
通常検査(線分二等分など特性の評価)と行動検査(日常生活の風景写真・物品など
から評価するもの)で構成されます。
通常検査の方は大体の患者さんに使用します。これは先日までに挙げたUSNの特性を
判断していくためです。ただ、行動検査の方は正直やったことがありません。他セラピ
ストから申し送られたらやりますが、なぜ生活場面におけるUSNを発見するのに写真を
使わないといけないのかわからないからです。それなら生活場面を観察したり、PTOT
や病棟スタッフ、家族と話したほうが手っ取り早いし検出率も高いかと思います。(症
例報告とか学会発表するなら取ったほうが突っ込まれないかも)
また、通常検査から得た特性からも何となく推測はできることもあります。
・自己中心性無視⇒近位空間(身体内空間)でUSNが起きることが多い傾向。
この空間は上肢の体性感覚、特に深部覚が重要とされています。
USNは視覚情報が~という方もいますが、それだけでは不十分で
体性感覚・聴覚・嗅覚など広範に把握した方がいいです。
・物体中心性無視⇒遠位空間(身体外空間)で起きることが多いそう。
こちらは物に着目するため、視覚情報と眼球運動が重要。
※ついでに眼球運動は評価していますか?
主に「サッケード(早い運動)」と「追従運動(ゆっくり)」が
ありますが、USNを呈する患者さんを見てみてください。
私見では、USN側へ向かう際眼球運動が遅かったり、途中で引っ
掛かりがあるかと思われます。
眼球運動は視野としても重要ですが、姿勢保持の観点からも非常
に重要です。姿勢が崩れて、眼球から立ち直りを起こしたいのに
眼球運動に制限があっては不利になりますので。
寄り道しましたが、USNによる影響は視野のみではなく眼球運動
の制限も起こすことがあります。「見える視野の拡大」も大事で
すが、「姿勢」の観点をいれると臨床は広がってくるかと思いま
す。
完全にそれました。戻ります。
先程、生活場面からUSNを検出したほうが早いと言いましたが、項目は絞られている
ほうが楽です。そこでCBSを用います。
生活場面で10項目とりあげており、他職種で採点します。
また、右半球損傷の人は病識が低い方が多く、リスク行動をとることが多々ありま
す。これは患者さん本人に自覚を問う質問紙としても使えるので、アンケートみたいな
感じで聞くのも有効です。
スタッフの点数とあまり点差があれば、それだけ危険行動の可能性があるかと思われます。
このようにざっくり、
・BIT⇒能動的な側面、無視の特性を評価。
・CBS⇒受動的な側面、リスクを他職種で共有。
と併用していくことが理想と考えています。