回復期について ③初診で心がけていること

今日のも1.2年目の若手STより話になります。

入院してきた患者さんに初日に行うスクリーニングについてです。今回は高次脳機能障

害や認知症など認知機能低下を呈した場合です。

 

 

 

【患者さんのスクリーニング】

☆最低限の症状pickupと、できるだけ仲良くなりましょう。

 初日は本当に必要最低限の評価を終えたら、挨拶程度で構わないと思います。

 私が臨床で絶対きくのは、この3つです。

 ①病気されたときのこと覚えてます?(現病歴)

 ②入院が続いてますが、困ってること教えてください(主訴)

 ③前の病院ではどんなことしてました?

  ※はじめに「いろんなひとに聞かれてることだと思うので、申し訳ないですが~」

   と言っといたほうが無難です。何回も聞かれてるでしょうからね。

   「最初だけなんですいませんー」といえば、大体大丈夫です。

 

 後輩には「親とかおじいちゃんとかと比べてどう?」といってみます。「なんか話噛

み合わないな」「なんか通りがかる人をよくみてるなー」とかです。現病歴や主訴・前

院でのリハビリなどを聞く中で失語をはじめ、病態認知や記憶もざっと見えてくるかと

思います。失行はどうしようもないので、ジェスチャーやトイレに連れていってみるな

どで評価していきます。そういった中で注意障害もなんとなくありそうかなーくらいは

疑えると思います。

 意識状態の内観も聞いてみるのもいいです。「脳卒中になると、寝起きみたいに頭が

シャキっとしない方が多いんですけどどうですか?」「病気前が0~10の10なら、今大体

どれくらいです?」といった感じです。

 病棟が近々で欲しい情報は「失語の度合い」「危険行動しそうか」「水分トロミ必要

か」といいたところです。あとは経過のなかで見ていくしかないので、上記3つは最低

でも見ておくことが理想です。

 

 患者さんにとって新しい環境へ行くことは大きな負担となっていることが多く、そん

ななか初日から根詰めて検査検査していく必要はないです。そこで関係性が微妙になり

その後に影響する方がリスキーです。初日は深追いしすぎず、病棟や他リハスタッフと

意見を交わす方に時間を割くことも重要と思います。

 

☆家族に同席してもらいましょう。

 入院したときは、家族さんがいることが多いので可能であればリハビリに同席、帰り

そうだったらその前に話しを聞いておきましょう。患者さんが拒否しない限り、大体つ

いてきてくれると思います。

 1つだけ聞くべきは、「発症により変化があるか」です。

 こちらが異常だ!と思っても家族は「前からですね~」となることは少なからずあり

ます。また、こちらが「~ですね」と提示するだけでなく、「そういえばここ変わった

な」など家族にも考えさせることは非常に重要になります。

 ただあまり反応がなかったら、ここでも深追いはそこまでしなくていいです。患者さ

んもそうですが、家族もこれからの生活を見通せなかったり不安になっているというの

が実際のところです。回復期は患者さんの機能改善を目指しますが、家族がこれからの

生活スタイルを考える猶予の期間でもあります。私の場合は、「病前の趣味」であった

り、嚥下に絡めて「好きな食べ物」とか、住所が近ければその話など、雑談を多くし

てできるだけ患者・家族との距離を縮めます。

 遅かれ早かれ家族指導をしていくにあたって、関係性が作れている人とそうでない人

にされるのでは効率が違いすぎますから。